旅するように働く。今こそ、魅力的な場所に!
- 主な事業内容:
- ソフトウエア業、情報処理サービス業、情報提供サービス業、インターネット付随サービス業など
- 本社所在地:
- 北海道札幌市
- 創業:
- 1990年
- 従業員数:
- 70人
「デジタルのものづくりで
未来を変える」ために、
よりイノベーティブな環境を
整えたと微笑む伊藤社長
北海道札幌市で30年以上、ソフトウエア開発を行ってきた株式会社アジェンダ。2021年12月に移転した同社の新オフィスは、第35回日経ニューオフィス賞で「北海道ニューオフィス奨励賞〈北海道知事賞〉」を受賞した。
アジェンダが旅行業界のソフトウエア開発を多数手がけていることから、オフィステーマを「ABW→オフィスを旅すること」と設定しているのが特徴だ。ABW(ActivityBased Working)とは、社員が働く場所を柔軟に選べるワークスタイルのこと。同社ではオフィス内を旅するように移動できる設計にして、社内のコミュニケーションを促進したことなどが評価された。
そもそも移転のきっかけは、コロナ禍で社員の大半が在宅勤務になったことだったが、決して規模を小さくしたわけではない。アジェンダの伊藤智裕社長は、「コロナ禍で出社率が極端に低下したため、逆に出社したくなる魅力的なオフィスをつくる必要があると考えました」と語る。従来のオフィスは、3フロアに分かれており、部署間の交流が希薄だった。これを改善するためにも、120~150坪でワンフロアのオフィスを探したのだ。
「オフィスは1日の大半を過ごす場所なので、ホッと安心しながら働ける『第2の家』であることが理想です。また、若手社員がこれから長く働き続けたいと思えるオフィスをつくりたかったので、入社5年目までの社員でオフィスづくりのワーキンググループを立ち上げました」
デザインコンセプトは、①自由気ままに気分転換できるオフィス、②人に優しく過ごしやすいオフィス、③ゆったりとした余白があるオフィス、④賑やかなオフィスの4つだ。
(写真左)オフィスの真ん中に位置する執務スペースは、出社率50~60%を想定した席数で、フリーアドレス。
社員一人ひとりにロッカーが支給され、デスク周りは常にスッキリ。
背の高い遮蔽物をなくし、室内全体の見晴らしを重視した。
(写真右)会社入り口は、白い壁面に青い会社ロゴが映え、明るく清潔感がある印象。
木目調のカウンターで柔らかさを表現し、左側のガラスの仕切りから社内の雰囲気がうかがえる。
(写真左)全席にデュアルディスプレイを導入。ノートパソコンとつなげて3画面使用でき、生産性アップに貢献。
連結型デスクを採用して中間の脚をなくし、席間隔を広げることなく座席ごとのパーソナルスペースを確保した。
(写真右)ブルーの壁と床が特徴の「AGENDA BOX」。
立ったまま打ち合わせができるオープンスペースや、背面の高いソファーで個室感のある打ち合わせブースを配置。
「ここで働きたい」と、道外からも人が集まる
新しいオフィスは真ん中に執務スペースを配置し、周りに多様なスポットをつくった。カフェスペースや芝生エリアでくつろいだり、ボックス席でリラックスしながら打ち合わせをしたり、集中ブースで生産性を高めたり。カプセルホテルで使われている本格的な2段ベッドが、休養・仮眠スペースとして用意されているのも驚きだ。また、フリーアドレスに対応して、社員の居場所を可視化する「だれどこマップ」を導入しているのも画期的である。これは、社内で独自開発したシステムだ。
「自分のノートパソコンをデスクに接続するだけで、誰がどこに座っているのかが表示されるため、フリーアドレス特有の“社内で人を探す手間”がありません。勤怠システムともリンクし、在宅勤務や休みなども表示されるので、非常に便利です」
社員から特に人気が高いのは、カフェスペースと芝生エリアだ。「北側の大きな窓から外を眺めてリラックスできる」「芝生エリアのプロジェクターで昼休みにゲーム大会を行い、交流を図っている」「従来の事務的なオフィスからおしゃれなオフィスになり、アイデアが湧くようになった」などの声が寄せられている。
「まず、社員が社外の人におすすめできるオフィスにしたいというのが目標でした。採用活動においても、ここで働きたいと思ってもらえるような場所にしたかったのです」
実際、新オフィスに移転してから採用は順調で、道外からもインターン生が集まる。並々ならぬ力を注いでオフィスを変革した意義として、確実にその効果が表れているのだ。
(写真左上)芝生エリアは、座面が低いアウトドア用の椅子やテーブルを置き、リフレッシュスペースに。
カジュアルな打ち合わせや、休憩時の飲食スペースとしても使える。終業後にはダーツに興じる社員の姿も。
(写真左下)社員の交流の場として設けられた「VINTAGE Café」。社内イベントや打ち上げなどにも使う。
ソファーでくつろいだり、窓際のテーブルで外を見ながら仕事をしたりもできる。
(写真右)カプセルホテル仕様のベッドを導入。
2段ベッドになっているため、寝台車のようなしつらえで、これも旅の気分を味わえる。
機関誌そだとう220号記事から転載