中小企業支援情報

中小企業のM&Aを成功に導くために


「中小PMIガイドライン」のご紹介

 

はじめに

近年、事業承継の手段の1つとして、M&Aが中小企業においても身近になりつつあります。実際、中小企業におけるM&Aのイメージについて10年前と比較すると約9割がプラスのイメージとなり、抵抗感が薄れてきています(図1)。また、M&Aに取り組む中小企業は右肩上がりで増加しています(図2)。

 

中小企業のM&Aに関する環境整備が進む

このように中小企業を対象としたM&Aが活発化する中、中小企業庁では、中小企業のM&Aに関するガイドラインの策定や基盤整備を行っていることをご存じでしょうか。

例えば、2020年3月に公表した「中小M&Aガイドライン」では、後継者不在の中小企業(M&Aの譲渡側)及び支援機関を対象とし、①中小企業に向けてM&Aの事例や基本的な姿勢や手数料の考え方等を示すとともに、②M&A業者等に対して適切なM&Aのための行動指針等を示しています(※1)。

また、2021年8月には「M&A支援機関に係る登録制度」を創設しました。登録されたM&A支援機関に対し「中小M&Aガイドライン」の遵守の宣言等を求めるほか、登録されたM&A支援機関が提供するM&A支援サービスを巡って問題を抱える中小企業からの情報を受け付ける「情報提供受付窓口」を設置するなど、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤の構築に努めています(※2)。

M&A成立後の統合作業に焦点を当てた指針を公表

このような流れの中、中小企業庁が2022年3月に公表したのが、今回ご紹介する「中小PMIガイドライン」です。タイトルにある「PMI」は、「主にM&A成立後に行われる統合作業」のことであり、企業のM&Aにおいて重要視されている取組です。前出の「中小M&Aガイドライン」において、主に譲渡側がM&Aを適切に進めるための手引きをまとめてきたのに対し、「中小PMIガイドライン」では、譲受側を対象とし、実施することが望ましいPMIの取組について整理しています。

PMIの取組を体系的に整理、成功・失敗事例も豊富に掲載

「中小PMIガイドライン」は、「総論」「各論」に分かれており、「総論」では、中小PMIの全体像(図3)を示しながら、PMIの概要、PMIの目的・必要性や進め方、重要なポイント等を解説しています(図4)。

 

 

「各論」では、PMIの各フェーズにおける各種取組のゴール、ポイント、具体的な取組の手順を記載しています。幅広い中小企業に対応するべく「基礎編」「発展編」に分けて解説するとともに、PMIのイメージをより鮮明に持ってもらうべく、M&A経験のある全国の中小企業から直接ヒアリングした成功事例や失敗事例を豊富に掲載していることが特徴です(図4)。

M&Aの成功に向けて、「中小PMIガイドライン」を積極的にご活用いただければ幸いです。

 

※1:中小M&Aガイドライン https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331001/20200331001.html
※2:M&A支援機関登録制度及び情報提供受付窓口 https://ma-shienkikan.go.jp/

 

 

中小企業庁 事業環境部
調査室 調査係長
戸田健太
(2022年4月より当社から出向中)

機関誌そだとう212号記事から転載

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