今からでも間に合います!──事業再構築補助金のご紹介
中小企業向けとして
過去最大規模の補助事業
※その他、「緊急事態宣言特別枠」を設けています。詳細は事業再構築補助金事務局ホームページをご確認ください。
新型コロナウイルス感染症によって中堅・中小企業を取り巻く経営環境が大きく変化する中、新たな市場や事業領域への進出などポスト・コロナ時代への対応力が注目されています。本稿は、売上が落ちている中堅・中小企業の業績回復を目的に、新分野への展開や業態転換などを目指す企業を支援する「事業再構築補助金」(以下、補助金)を紹介します。
今回の補助金全体における予算規模は総額1兆1485億円と大規模で、2021年度中に計5回程度の公募を行う予定となっています(第2回公募は7月2日に終了)。中小企業(通常枠)の補助上限は6000万円、補助率は3分の2となっており、卒業枠やグローバルV字回復枠として採択された場合には最大1億円の補助を受けることが可能です(図1)。補助対象経費は、機械装置の購入等に加えて、建物費(建物の建築改修、撤去費など)やクラウドサービス利用費、広告宣伝費など事業拡大につながる費用を幅広く対象としている点も見逃せません。
図2は主な申請要件です。
(1)売上高減少要件は、申請前の2020年10月以降の連続する6カ月のうち任意の3カ月の合計売上高が、2019年1月~2020年3月までの任意の3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることとしています。ただし任意の3カ月とは、連続した期間である必要はありません。
(2)事業再構築要件とは、[1]新分野展開、[2]事業転換、[3]業種転換、[4]業態転換、[5]事業再編のいずれか1つの類型(※1)に当てはまる必要があります。申請にあたっては、各類型で定められる新規性要件(新たな製品の製造または新たな商品もしくはサービスの提供により、新たな市場に進出すること等)に該当することが求められます。
(3)認定支援機関要件は、認定経営革新等支援機関と共に事業計画を策定し、「認定経営革新等支援機関による確認書」の提出が求められています。補助金額が3000万円を超える計画の場合には、「金融機関による確認書」も必要となります。また、事業計画の実行に必要な設備等を導入する期間(補助事業実施期間)が終了して、3年から5年の間(事業計画期間)に、年率平均(または従業員1人当たり付加価値額の年率平均)で3%以上の付加価値額増加を見込む計画である点もご留意ください。事業計画期間においては経営状況、再構築事業の事業化状況の確認として年次報告も必要となります。
事業計画が採択のポイントに
補助金の審査は申請時に提出する事業計画書を基に行われます。事業計画書は、まず形式的要件を満たす必要があります。確認においては、補助金事務局ウェブサイトから資料をダウンロードできる「電子申請入力項目(Word)」の「チェックリスト」を活用されることをお勧めします。申請は事業者自身が行う必要があり、全て電子申請となりますので「GビズID」の早期取得も欠かせないと言えるでしょう(※2)。
採択に向けては、「公募要領」に記載されている「審査項目・加点項目」もご確認ください。審査項目・加点項目の中でポイントになるのは、計画された事業の実効性を審査する「事業化点」と、事業再構築の必要性や適格性を審査する「再構築点」に関する部分と見られます。
事業計画書には新分野などへの展開の実現に向けた取組内容を落とし込むことが必要ですが、申請された事業計画書においては、自社のPRに終始していて、事業計画の実現可能性についてほとんど触れられていないケースも見受けられます。そのため、事業計画の実現に向けた具体的かつ合理的で説得力のある手立てが記載されている事業計画と、そうでない計画とでは、審査にあたって大きく評価が異なることになります。
今回の補助金の検討を契機に、自社の優位性や事業上の課題、市場動向等を支援機関と連携して見つめ直し、今後の事業展開を見据えていくことが重要と言えるのではないでしょうか。
※1:類型の詳細は「事業再構築指針」(補助金事務局ホームページ内)にて公表しています。
※2:GビズID(gBizIDプライム)とは、複数の行政サービスを1つのアカウントにより、利用することのできる認証システムです。
https://gbiz-id.go.jp/top/
お問い合わせ先
中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/
経営支援部 技術・経営革新課(イノベーション課)
Tel.03-3501-1816
中小企業庁 事業環境部
調査室 調査係長
鈴木 崚
(2020年4月より当社から出向中)
機関誌そだとう207号記事から転載